東洋における“竜血”
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 08:36 UTC 版)
中国においては「血竭(xuějié; けっけつ)」「麒麟竭(qílínjié; きりんけつ)」などと呼ばれる“竜血”が古くから知られ、漢方にも用いられてきた。 これらの中にソコトラ島産の“竜血”が含まれていたかどうかは不明だが、「1972年に中国国内で“竜血樹”が発見されるまでは、血竭の需要は東南アジアとアフリカからの輸入に頼っていた。アフリカではリュウゼツラン科植物の幹から血竭をとり、2000年以上の歴史がある」とする資料がネット上には見られる。 現在は、Dracaena cochinchinensis(剣葉竜血樹; Cochinchinaはベトナム南部を指す旧称)とDracaena cambodiana(海南竜血樹)の2種がおもに利用され、東南アジアや中国南部で血竭が生産されている。 なお上の資料とやや矛盾するようだが、『本草綱目』には「騏驎竭」として記載があり、さまざまな資料を引いておおむね「松脂のような樹脂の流れてかたまったもの」としていて、これは“竜血樹の竜血”について解説していると見て間違いがないが、蘇頌(本草図経、11世紀)からの引用として「今南蕃諸国及広州皆出之」とする。しかし同書にはまた別資料からの引用として「此物出於西胡」ともある。 いずれにしても現在の中国で漢方薬、民間薬、その他に利用される“麒麟竭”は、ドラセナ属とは全く別種の植物・キリンケツヤシDaemonorops dracoの実から精製したものが最も多い。ちなみに、ドラセナ属由来のものとキリンケツヤシ由来のものとを混同しているような様子は全く見られないのだが、とはいえ両者を区別して用いることはあまり行われていないようである。
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