本歌と写し
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 14:12 UTC 版)
安土桃山時代に活躍した刀工・堀川国広作の日本刀であり、南北朝時代の備前長船長義作の刀「本作長義」(徳川美術館蔵)の写しとして作られた。山姥切国広と本作長義は、峰の形状と樋先の位置関係などは正確だが反りを含めた全体の姿形と茎仕立てはあまり似ておらず、当時の刀工が持つ写しについての意識と現代の復元模造に対する意識の違いが表れている。昭和時代の刀剣研究家である本間順治は「単なる模作ではなく、地刃の働きと、すすどしさは長義をさらに強調し、放胆の味さえ加わって長義の作中にあっても出色のもの云い得よう。」と本作を評した。堀川国広の「慶長打(堀川打)」と呼ばれる相州伝に学んだ後期の作風は、相伝備前の典型作である本作長義を写したことが契機になったとみる説もある。本作は1962年(昭和37年)6月21日に重要文化財に指定されたが、本歌にあたる本作長義も1949年(昭和24年)2月18日に重要文化財指定を受けており、2020年(令和2年)時点では刀剣において本歌と写しが共に重要文化財である唯一の事例となっている。
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