未完に終わる
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 21:10 UTC 版)
1927年の初版以来『存在と時間』の冒頭には「上巻」の文字があったが、ハイデッガーは1953年の第7版からこれを削除、後半部を著述完成させることを断念する意思を明らかにした。ハイデッガーは、弁明として後半を書き加えるには、公刊した前半もすべて書き直さなければならなくなってしまうこと、存在への問いそのものまで諦めたわけではないこと、それらに関しては同じ1953年に刊行した『形而上学入門』を参照してもらったほうがよいということなどを挙げている。 こうして未完成のまま残された『存在と時間』は、現存在についての緊密な分析と解釈をなし遂げてはいるが、その全体的な計画に関する宣言には反して「存在一般の意味」を解明するまでには至らなかった。一連の野心的な企図は以降の著作にて、異なる方法によりながら執拗に追求されることとなる。
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