期待権に関連した議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 03:48 UTC 版)
2005年(平成17年)12月8日最高裁判決(東京拘置所内での脳梗塞発症の事例)の補足意見にて、判事の才口千晴は「(期待権に基づく賠償を認めるべきとした)反対意見は、実定法に定めのない『期待権』という抽象的な権利の侵害につき、不法行為による損害賠償を認めるものであるから、医師が患者の期待権を侵害すれば過失があるとされて直ちに損害賠償責任が認められ、賠償が認められる範囲があまりに拡大されることになる」と述べ、純粋な期待権による損害賠償を認めるべきではないと指摘した。 期待権の侵害は医療訴訟においてしばしば問題となるが、患者が抱く過剰に高い期待に応えられなかったとして期待権侵害が認められる場合があることや、司法が賠償責任を認める際の根拠となる「生存していた相応程度の可能性」などの司法的判断が臨床上の常識的判断よりも過大に見積もられることが少なくないことに対し、医師をはじめとする医療従事者からは「公平性を著しく欠いている」という反発が根強い。 2011年2月25日最高裁判所第二小法廷判決において、「患者が適切な医療行為を受けることができなかった場合に、医師が、患者に対して、適切な医療行為を受ける期待権の侵害のみを理由とする不法行為責任を負うことがあるか否かは、当該医療行為が著しく不適切なものである事案について検討し得るにとどまるべきものである」と判断するに至っている。
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