月との調整 (+1)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/01/29 13:36 UTC 版)
もう1つの補正は、2500年間に8回エパクト数値に1を加算することによって朔望月とメトン周期とのずれを調整するルールである。太陽暦であるはずのグレゴリオ暦が月の満ち欠けまで考慮しているのは、この暦がカトリックによって作成されたからである。暦作成の目的には移動祝日の復活祭の算出も含まれていた。復活祭は、イエス・キリストがユダヤ教のニサンの月(春分と過越の月)に十字架にかかって亡くなり、その死からの復活を祝う行事である。第1ニカイア公会議が決定したルールには、復活祭ができるだけ過越祭のあとに来るように「3月21日(春分)以降の最初の満月」というキーワードが含まれていた。そのためグレゴリオ暦は月の満ち欠けを無視できなかったのである。 メトン周期の235朔望月を、ユリウス暦では4年に一度の閏年を入れた平均354.25日の太陰年が19年分と、30日の閏月6か月と29日の閏月1か月で合計6939.75日と計算していた。しかし天文学の研究が進み、平均朔望月は約29.530589日であることが判明した。この値で計算し直すと、メトン周期の235朔望月は約0.061585日短くなってしまった。時間に直すと約1時間半の差であるが、約310年で差が24時間、つまり月齢(エパクト)が一日ずれてしまうことになった。そこでグレゴリオ暦の2500年間に8回、エパクト数値に1を加算することにした。これを太陰方程式(Lunar equation)と呼ぶ。西暦1800年から始り、300年ごとに7回、その400年後に8回目を行って2500年の周期が終わる。次回の施行は2100年である。この影響でグレゴリオ暦のエパクト表は100年から300年ごとに更新する必要性が出てきた。上記のエパクト一覧表は1900年から2199年までのみ有効である。
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