書簡作文法:Ars Dictaminis
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「ラテン語学校」の記事における「書簡作文法:Ars Dictaminis」の解説
書簡作文法(Ars Dictaminis)は、中世後期に、宗教的、政治的指導者たちの傘下の組織の間で、社交的通信の需要が高まるにつれて、ひとつの分野として創出されたものである。修辞学は説得の手段と見なされており、それを支えるために書簡作文法には5つの要素が求められた。すなわち、「質問をどう表現するか」、「素材をどう示すか」、「適切な言葉と効果的な文体をどう選ぶか」、「どうやってすべてを記憶に残すか」、「適切な抑揚や身振りをどう見つけるか」である。しかし、ルネサンス期には、修辞学は、公的なり私的な書簡や、記録を、どのように書き記すのかという研究に展開していくことになった。この修正された書簡作文法は、キケロの著作である『発想論 (de inventione)』と、かつてはキケロ作とされていた『ヘレンニウス宛弁論書 (Rhetorica ad Herennium)』から指針をとっていた。そこでは、「挨拶 (salutatio)」、「慈悲心 (benevolentiae)」(言葉遣いによって書簡の受け手から同意を獲得する)、「説話 (narratio)」(本題の論点)、「請願 (petitio)」、「結論 (conclusio)」の5つの要点が示されていた。この体系的なプレゼンテーションは、階層的組織を前提とした中世の嗜好に由来するものである。
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