春星や女性浅間は夜も寝ねず
作 者 | |
季 語 | |
季 節 | 春 |
出 典 | |
前 書 | |
評 言 | 普羅三部作「春寒淺間山」「飛驒紬」「能登蒼し」はともに地貌を愛し詠い上げたもの。その「春寒浅間山」に裾野の夜と前書をつけて掲句がのっている。 北海道駒ケ岳にはじまる那須火山帯は、八甲田山、蔵王、磐梯、赤城を連ね浅間山に至る。浅間山は標高2568メートルの三重式活火山。天明3年の大噴火は、2000人余の死者を出し、奥羽地方の冷害、大飢饉を招いた。いまも噴煙は絶えない。 この山がなぜ女性なのであろうか。 「春寒淺間山」の後記を繙く。普羅が浅間山の触手に初めてふれたのは中学2年の時であったという。烏川渓谷を渡っているとき、浅間山の火山灰が降って来た。天空を飛んで来た浅間山の触手であると。又、後年鳥居峠から吾妻渓谷に入ったとき、美しく静かな裾野六里ケ原は浅間山の奥殿として私をしめ殺す程に抱きしめ―終に私は浅間山がふりそそぐ女性にうち勝てなくなってしまった―日本的象徴としての浅間山に寄りそはんとするものである―とまで言っている。 中西舗土氏は、『前田普羅生涯と俳句』(昭和46年角川書店刊)の中で「この句について説明抜きで端的に女性浅間といい切るのは詩人の直感であろうかと思う」と述べている。 私見ではあるが、普羅はマグマを滾らせ、常に噴火という危険性を持ちながらなだらかな山容を見せている浅間山に、女性の内に潜む魔性と情熱を感じとったのでなかろうか。 女性淺間春の寒さを浴びて立つ の句も見られる。 撮影:花岡茁 浅間山(山道の左群馬、右長野) |
評 者 | |
備 考 |
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