日本版SOX法
上場企業を対象に2008年度から金融商品取引法の内部統制報告制度(日本版SOX法、J-SOX)が始まりました。導入のきっかけは、上場企業の粉飾決算事件が相次いだことです。巨額の赤字を出していたにもかかわらず、大幅な黒字であるかのように見せかけていたケースもあり、日本の証券市場に対する信頼は大きく揺らぎました。
このため2006年6月、投資家保護を目的に証券取引法を大改正する形で金融商品取引法が制定されました。上場企業の経営者は、自ら内部統制システムを構築し、それが有効に運用されているかどうかを自ら評価。さらに結果は報告書にまとめ、企業から独立した外部監査人(監査法人または公認会計士)のチェックを経て、内閣総理大臣宛に提出しなければならなくなりました。投資家からみて透明性の高い仕組みにしたわけです。
内部統制システムとは、粉飾決算など企業の不祥事が起こらないようにするため、社内の主要な業務プロセスを文書化することで、リスクを洗い出し、日頃から適切な対策を講じておくことにあります。平たく言えば、組織の目的を達成するために、組織を構成する全ての人が守らなければならないルールや仕組みのことを指します。
米国ではエネルギー会社大手のエンロンが不正会計から破綻(はたん)に追い込まれ、この事件をきっかけに2002年7月、「サーベンス・オクスリー法」(Sarbanes‐Oxley act)が成立しています。SOX法は、これを略した呼び方です。ただ米国版SOX法と日本版SOX法は似て非なるものといえ、なかでも外部監査人の関わり方には大きな違いがあります。米国では外部監査人が直に会社の内部統制の整備・運用状況を監査しますが、日本は経営者が評価したものを、外部監査人がチェックするという間接的なアプローチをとっています。経営者によるセルフチェックを基本にしているわけです。
(掲載日:2008/04/15)
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