日本の民法・刑法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/19 19:41 UTC 版)
民法において、権利・義務の主体となることの出来る資格である権利能力は通常、出生によって全ての人が取得する(民法3条の1)。胎児は厳密には出生していないので原則として権利能力がない。 しかしながら胎児の父親が交通事故に遭って死亡した場合、もしこの原則をそのまま適用するとすれば、胎児が出生する前に死亡すれば、妻(胎児の母親)が3分の2、父親の両親(健在である場合)が3分の1を相続するが、胎児が出生した後に死亡すれば、妻と生まれたばかりの子が2分の1ずつ相続することになる。僅かな時間の差でこのような問題が発生する事も有り得る不合理を解消するため、民法886条は胎児について相続の場面において生まれたものと看做す事によって権利能力を認めている。 民法721条においては、損害賠償請求権についての権利能力も認められている。また胎児に遺贈する事は民法965条で認められている。 刑法においていつ胎児が人となるのかについては議論が分かれているが、一部露出説が通説となっている。母体から胎児が一部でも露出すれば人になったと考えられている。胎児が一部でも露出していれば、胎児だけに向かって攻撃を加える事が可能になるため、保護すべき必要性が出て来るとされるためである。従って妊婦を殺害した結果胎内に居る胎児が死亡したといった事例においては、胎児については殺人罪(刑法199条)は非適用の可能性が高い。 「堕胎罪」も参照
※この「日本の民法・刑法」の解説は、「胎児の人権」の解説の一部です。
「日本の民法・刑法」を含む「胎児の人権」の記事については、「胎児の人権」の概要を参照ください。
- 日本の民法刑法のページへのリンク