方言 (辞典)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/27 05:26 UTC 版)
『方言』(ほうげん)は、漢代中国の方言辞典。揚雄の著とされる。『揚子方言』(ようしほうげん)・『別国方言』(べっこくほうげん)とも呼ぶ。正式名称は『輶軒使者絶代語釈別国方言』(ゆうけんししゃ ぜつだいごしゃく べっこくほうげん)。
内容
現行の『方言』は全13巻で、東晋の郭璞が注をつけた本が行われている。本文の体裁は『爾雅』に似ており、同義語をひとつにまとめ、広い地域で行われている語を最後に置いている。その後にそれぞれの語がどこの方言であるかを説明している。たとえば巻一冒頭は
- 黨・暁・哲、知也。楚謂之「黨」、或曰「暁」。斉・宋之間謂之「哲」。
となっているが、これは知ることを「知」というのが一般的な語で、楚では「黨」または「暁」、斉と宋では「哲」という、という意味である。
各巻は『爾雅』のようにはっきりとは分類されていない。巻によっては異なる形式で説明をしている。どこの方言か書いていない語も多い。
郭璞の注は郭璞当時の方言と比較しており、晋代の方言について知る上の貴重な資料となっている。
『方言』にならって作られた書物に杭世駿『続方言』、章炳麟『新方言』などがある。
作者
『方言』について言及している最古の書物は応劭の『風俗通』序で、揚雄が27年かけて作ったとしている。応劭はまた『漢書』司馬遷伝の注でも『方言』を引用し、作者を揚雄としている。
揚雄作者説には異論もある。『漢書』の揚雄伝や芸文志に『方言』についての記載がないのがその根拠で、南宋の洪邁は漢魏の際の作としている[1]。周祖謨は、揚雄が作者であるともそうでないとも断定できないとしながら、『説文解字』と共通の内容が多く見えることから、『方言』のもとになった書物が1世紀にはすでにあったとしている[2]。
現行『方言』の巻末には劉歆と揚雄の間の書簡が附属しており、そこで揚雄は『方言』(書簡では『殊言』と呼ばれている)はまだ完成していないので見せることはできないと断っている。この書簡を真作とするならば、『方言』は長い間未完成であったために知られなかったということになる。
揚雄の書簡や郭璞の注では『方言』が15巻であったことがわかるが、現行本は13巻である。また、『風俗通』序では『方言』について「凡九千字」と記しているが、現行の『方言』はそれより大きく(戴震によると11900字)、応劭以降に増補が行なわれたことが明かである。
研究
清朝には戴震の『方言疏証』や盧文弨の校正をはじめとする研究が行われた。周祖謨『方言校箋』(1951)は伝統的な研究を集大成して校勘を行ったものである。
『方言』に関する近代的な研究を行ったのは林語堂で、その「前漢方音区域考」(『語言学論叢』(1933) 所収、もと厦門大学国学研究院季刊の創刊号に載る予定だったが, この雑誌は発行されなかった)において、方言に載っているさまざまな地名が15の地域に分かれることを示し、その特徴を考察した[3]。パウル・セロイスは『方言』を使って言語地理学的な研究を行った。
テキスト
現存する最古の本は北京図書館蔵の南宋慶元庚申(1200年)李孟伝刻本であり、現在出版されているものは多くこの本を元にしているが、必ずしももとの本に忠実でない。佐藤進『宋刊方言四種影印集成』[4]は、4種類の本を対照影印した本である。
脚注
「方言 (辞典)」の例文・使い方・用例・文例
- 地域方言で話す
- 彼はときどき鼻にかかった方言を話す。
- ワロン語はフランス語の一方言とみなされている。
- 大阪の方言
- 彼女は方言を使って話します。
- 方言を無くす。
- 彼女はこの地域の方言を喋ります。
- 次に宮城の方言について解説します
- 彼らは南部の方言で話していた。
- 大阪の方言は聞き取り難い。
- 言語学者はその方言のことをかなり良く知っている。
- 厳密に言えば、中国は何百万という方言から成り立っている。
- トムはジョンが方言を使うのでいつもからかう。
- それらの方言におけるこの語形の分布に注意が向けられなければならない。
- その言語学者はいくつかの中国語の方言を流暢に話す。
- これはスコットランドの方言で書かれた詩です。
- いわゆる「標準英語」とは世界中で話されている数多い方言のうちの1つにすぎない。
- スコットランド方言.
- 方言で書かれた詩.
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