新しい小売業の地理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/23 21:53 UTC 版)
「小売業の地理学」の記事における「新しい小売業の地理」の解説
新しい小売業の地理(あたらしいこうりぎょうのちり、New Retail Geography)はイギリスの地理学者であるリグレイとローによって提唱された概念であり、マルクス主義の立場から理論構築が試みられている。小売業において流通資本の影響が大きくなったことを受けて、小売業の分布パターンと都市構造のダイナミズムを経済地理学と文化地理学の視点で分析を行う考え方である。 従来(1990年代以前)、小売業の運営は少数の百貨店・老舗専門店を除いて家族経営の独立店によってなされていたが、総合スーパーやコンビニエンスストアのような多店舗展開するチェーンストアによる寡占化が進行し、商業の立地に大きな変化が与えられた。イギリスにおいてはテスコやセインズベリーといった小売チェーンが発展し、中小小売業者や生活協同組合は淘汰された。そこで、リグレイとローは小売業の立地変化を都市機能の観点から捉えるのではなく、影響が大きくなっている大手流通資本とともに、行政による規制と誘導の相互作用から考えた。その他、リグレイとローによる研究では量販資本とメーカーの垂直的取引関係、量販資本の雇用問題まで論が及ぶ。 日本でも、同時期に箸本健二(早稲田大学教授)によって小売業の立地変化の研究がされており、都市機能の観点に加え、産業システムの枠組みの中で考える経済地理学の性格を併せ持っており、「新しい小売業の地理」の考え方と符合する。
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