文民の軍事研究者の増大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 06:19 UTC 版)
軍事学は19世紀から20世紀にかけて軍人が軍学校において教育研究することが一般的であった。軍事学は民間人が取り組む学問とはみなされていなかった。しかし、ヨーロッパにおいては第一次世界大戦が勃発することをきっかけに軍事研究の重要性が広く認識されるようになる。戦略学や軍事史など教養的な分野を中心に一般の大学でも講義がもたれるようになっていった。イギリスでは1909年にオックスフォード大学オール・ソワルズ・カレッジにおいて軍事史の教授ポストが設置され、初代の教授にスペンサー・ウィルキンソンが就任している。。また戦略研究者リデル=ハートが軍事評論家として活動を開始していた背景にもこのような軍事問題に対する一般的な関心の高まりがあった。第二次世界大戦の終結に伴って出現した冷戦構造と核戦争の危機は軍事問題に対する社会的関心をより強める結果となる。同時に軍事学の研究領域はさまざまな自然科学や人文科学、社会科学と関連しながら拡大していった。アメリカでは軍部が大学の研究者にさまざまな戦略問題に関する研究を委託するようになり、実際にこの時期のアメリカの軍事学の研究には政治学者のガブリエル・アーモンド、物理学者のハーマン・カーン、数学者のジョン・ナッシュなど多くの民間人が貢献している。軍事学の領域にはそれまで着目されてこなかった歴史学的、心理学的な問題へ広がり、また兵器システムの発展は物理学や化学の知識を必要とした。さらに軍事戦略や安全保障政策についても社会科学の理論が応用されるようになっている。
※この「文民の軍事研究者の増大」の解説は、「軍事学」の解説の一部です。
「文民の軍事研究者の増大」を含む「軍事学」の記事については、「軍事学」の概要を参照ください。
- 文民の軍事研究者の増大のページへのリンク