数寄屋独特の意匠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 22:42 UTC 版)
数寄屋建築は、書院建築が重んじた格式・様式を極力排しているのが特徴である。虚飾を嫌い、内面を磨いて客をもてなすという茶人たちの精神性を反映し、質素ながらも洗練された意匠となっている。以下に、数寄屋に特徴的な要素を挙げる。 多彩な建材 竹や杉丸太を好んで使う。特に杉はその木目が称揚され柱や床板に多用される。また丸太普請という一見素朴だが高度の技術を要する工法を採用している。床柱や床框に紫檀などの奇木を使ったり、板材には桑の一枚板を使うなどきめ細やかな建材の選択も数寄屋の特徴である。壁も白壁は採用せず原則として聚楽壁に代表される土壁仕上げである。そのため左官技法は高度にかつ多彩に発展した。 長押の省略 丸みを残した面皮柱を用い、長押は省くことが多いが、長押を付ける場合は原則として杉の面皮である。 床の間 書院造のそれと比べると小規模で質素である。あまり格式にとらわれず自由に建材を選び自由にデザインがされる。 深い庇 庇を長めに造ることで、内部空間に深い陰翳と静謐をもたらす。 多彩な建具類 襖や障子のデザインにも工夫を凝らし、後には板硝子という新たな材料を得て、一層多彩に展開した。雪見障子や猫間障子、組子障子など職人の技術の粋を見ることができる。
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