救済措置との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:11 UTC 版)
著作権侵害に対する救済措置については、差止請求、廃棄請求、損害賠償請求などが考えられる(日本においては、著作権法112条、民法709条など)。この救済措置の準拠法については、著作権の準拠法と当然に同一と考えるべきかが議論されている。 この点については、著作権の内容と救済措置との関係につき、後者を前者の効力の問題と捉えるか、前者は後者の先決問題と捉えるかにより、見解が変わることになり、大まかに言うと、いずれも著作権の効果の問題であるとして著作権の準拠法によるとする見解、著作権の準拠法は救済措置の準拠法の先決問題であるとして別途準拠法を考える見解、差止請求や廃棄請求は著作権の準拠法に従うが損害賠償については別途準拠法を考える見解に分かれる。 救済措置に関する準拠法を著作権の準拠法とは別途考える見解によると、特別の規定がない限り救済措置は不法行為の効力の問題として性質決定されることになる。したがって、法廷地が日本の場合は、原則として法の適用に関する通則法17条本文が適用され「加害行為の結果が発生した地の法による」ことになるが、例外的に加害行為が行われた地の法による場合(同法17条但書)や、その他密接な関係にある地の法による場合(同法20条)も想定される。 もっとも、著作物の利用が外国で行われた場合、当該外国法を適用すれば最終的に解決するというわけではない。例えば、著作物の利用行為地がフランスであったとすると、保護国法説によれば、著作権侵害による差止請求が認められるか否かは本来はフランス法によって判断される。しかし、当該差止請求訴訟が日本の裁判所に係属した場合、フランス法の解釈では差止請求が認められるとしても、当該利用行為が日本の著作権法によれば著作権侵害に該当しない場合は、法の適用に関する通則法22条2項にいう「日本法により認められる損害賠償その他の処分でな」いものとして、差止請求は否定されることになる。
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