拒否権行使と上書きの審議
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「ガズデン購入50セント硬貨」の記事における「拒否権行使と上書きの審議」の解説
1930年4月21日、フーヴァー大統領は法案への拒否権を行使して署名せず、法案に反対した理由とともに下院に送り返した。これはフーヴァー初の拒否権行使であり、記念硬貨法案に対し行使された事例としても初である。フーヴァーが財務省の勧告を受けての拒否権行使だった。フーヴァーは過去10年間に記念硬貨が15度も発行されたことを挙げ、通貨偽造の温床になってしまうと述べた。また、「似たような提案が多数あるという事実がなければ、本件はそれ自体が重要性の高い事柄ではない」とも述べ、議会にはガズデン購入硬貨以外にも記念硬貨法案が5件提出されており、ガズデン購入硬貨の法案が成立したらそれ以外の法案を却下しにくくなると憂慮した。彼は記念硬貨の発行を硬貨制度の悪用であるとしつつ、硬貨に影響を与えずに記念品を提供できるとして記念メダルの製造を援助すると述べた。その背景には多くの記念硬貨が造幣局に返品され溶かされることがあり、フーヴァーはそれを浪費であると考えた。 翌日、下院造幣委員会は拒否権行使の上書きについて投票を求めた。法案を支持した議員の多くはほかの記念硬貨法案を推していた議員の支持を受けて、下院の議場にきて上書きを支持した。弁論では上書きを支持する議員が主導したが、下院多数党院内総務のジョン・Q・ティルソン(英語版)(コネチカット州選出)のみがフーヴァーを支持した。上書きには3分の2以上の多数が必要だったが、上書きを支持したのは96名にとどまり、243名が反対した。共和党所属の議員のうち、ニューメキシコ州選出のアルバート・G・シムズ(英語版)議員のほか、東部と中西部の議員4名が上書きを支持した。 『ニューヨーク・サン』紙はフーヴァーの「しっかりした常識」(sound common sense)を称えたが、ホフェッカーの出身地の新聞である『エル・パソ・ヘラルド(英語版)』は「フーヴァー大統領は比喩的な意味でアリゾナ州、ニューメキシコ州、そしてエルパソを平手でたたいた」(President Hoover administered a figurative slap to Arizona, New Mexico and El Paso)と批判した。4月26日、『ワシントン・ポスト』紙は社説でフーヴァーの拒否権行使を支持、「記念硬貨が喧しく要求されたのはその販売で利益を挙げられることが理由だったが、議会は記念硬貨の製造を大量に許可したため利益は下がった。[...]フーヴァー大統領の判断は[...]世間一般には賛成されている」と述べた。
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