抜殻方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 06:02 UTC 版)
抜殻方式は既存の事業会社が行っている事業を別会社にすべて移管させたうえで持株会社となる方法。事業会社から事業を抜き取り持株会社に移行することから抜殻方式と呼ばれる。会社分割のほか、事業を現物出資することによる事業子会社の設立や、金銭出資により設立した子会社への事業譲渡による方法がこれに含まれる。 事業持株会社であった会社が、事業とグループ統括を切り離す際によく用いられる。日本電信電話株式会社、セイコーホールディングス株式会社、日本テレビホールディングス株式会社、株式会社TBSホールディングス、株式会社フジ・メディア・ホールディングス、イオン株式会社などが採用している。 抜殻方式の場合、一部の事業を切り離さずに残した「純粋」持株会社と呼ばないケースもある。以下に例示する。カッコ内は残存事業。株式会社ニチレイ(不動産事業) 株式会社ヤマコー(不動産事業) 株式会社日本香堂ホールディングス など 免許・登録が必要な事業(不動産事業・銀行業・証券業・航空事業・放送業など)は法人に対して免許を与えているため、抜殻方式による持株会社移行(分社化)には、承継法人が別途新たに免許を取得する必要がある。たとえば2005年4月1日に純粋持株会社に移行した阪急ホールディングス(旧:阪急電鉄株式会社、現:阪急阪神ホールディングス株式会社)は、あらかじめ承継予定会社(阪急電鉄分割準備株式会社:1989年に設立された休眠会社を活用)に各種許認可を取得させたうえで、会社分割(吸収分割)を行った(同日、阪急電鉄分割準備株式会社は阪急電鉄株式会社に商号変更)。阪急電鉄のこの会社分割は、鉄道事業によるものではなく、阪急電鉄の不動産事業によるものである(鉄道事業については新設分割が可能である。例:近鉄グループホールディングス → 近畿日本鉄道、東急 (旧: 東京急行電鉄) → 東急電鉄)。 免許・登録が必要な事業によっては、新設会社が従前のステータスを継承できないため、その事業のみ従前の会社に残すことがある。たとえば2015年10月1日に日本梱包運輸倉庫株式会社が持株会社に移行したニッコンホールディングス株式会社は、運輸業、倉庫業など大半の事業を新設子会社の「日本梱包運輸倉庫株式会社」に移管したが、通関業については新規免許の場合、認定通関業者になれない(通関業許可3年以上が要件)ため、通関業のみニッコンホールディングスに事業を残した。その通関業法の改正で許可の継承が可能になったため、2017年に、通関事業を会社分割により日本梱包運輸倉庫㈱への継承させ、ニッコンホールディングスは純粋持株会社になった。 旅行会社については持株会社に移行した後も、旅行業登録をそのまま残すケースもある(KNT-CTホールディングスがこれにあたる。いずれの場合もJR指定旅行会社は事業子会社ではなく持株会社が指定されている)。
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