批判と再評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/09 15:20 UTC 版)
「キャンプ」はソンタグのエッセイにおいてすでに首尾一貫しない定義の混乱が指摘されていたように、キャンプという言葉には曖昧さがつきまとった。ソンタグは同性愛者の文化が築いた美的感覚という本来の「キャンプ」解釈を大幅に拡張し、日本の怪獣映画や、けばけばしい魅力を売り物にする女優などまで「キャンプ」に含めようとしたが、それらを統一的に理解するための本格的な理論化は行わなかったため、たとえば「キッチュ」のような悪趣味の美学と「キャンプ」との区別が曖昧になったのである。そうした分かりづらさに加えて、ソンタグ以後の「キャンプ」批評においてアフリカ系アメリカ人のゲイ・カルチャーが無視される傾向にあったことも批判され、1980年代後半以降、審美的用語としてはしだいに使われなくなった。 しかし2019年5月に、ニューヨークのメトロポリタン美術館で「キャンプ:ファッションについてのノート」と題する展覧会が開催された。これはソンタグの構想をたどりながら「キャンプ」の美意識を再定義しようと試みるもので、これをきっかけに英語圏の多くのメディアに再び「キャンプ」という言葉が登場し、再評価の機運が高まっている。
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