意義と限界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 14:53 UTC 版)
杉浦芳夫は工業立地の考察において、ヴェーバーモデルは輸送コストが生産コストの中でも大きい場合に適切であると指摘しているものの、輸送コストが低下した現代においてヴェーバーモデルの重要性が低下し、立地因子が工業立地の説明において重要視されるようになってきている。現代では公共施設の立地の説明においてヴェーバーモデルが応用可能である。住民全体での公共施設までの移動距離を最小化する場合のモデル、公共施設から遠い住民数を最小化する場合や公共施設のサービス提供可能地域での住民数を最大化する場合のモデルが存在する。 柳井雅人は、ヴェーバーモデルが資本主義社会での立地変化の考察のツールになっていること、費用の最小化の観点から企業間競争を説明していること、ヴェーバーモデルが都市の形成の背景の考察の手段になり得たこと、また地域の全体構造の表現がなされていることを、ヴェーバーモデルの意義として指摘している。一方、現代では工場の集積と人口集積の因果関係が失われていること、労働費の地域間での相違を説明できないこと、立地層間での立地の相互関係についての説明が不十分なこと、集積関数に関する説明に問題があることをヴェーバーモデルの限界として指摘している。
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