意義または概念の有用性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 10:01 UTC 版)
「数学的構造」の記事における「意義または概念の有用性」の解説
例えば解析幾何学において座標を使った解法と 位置ベクトルを使った解法を比べてみると、後者のほうが同じ内容を表現するにも重複した記述を省略できる、しかし問題を解く手段であることには両者とも変りはない。構造の概念も表現や思考の節約に役立つ。 ガロア理論においては、単なる計算の洗練を超えた構造の概念により方程式論の難題であった5次方程式の解法のみならず幾何学の難問であった角の三等分問題や円積問題の解決にもつながった。 ブルバキの言う「数学者に豊かなインスピレーションを与える知識」とは異なった構造の類似において一方で成り立つ理論が他方でも成り立つのではないかという予想を構造の知見が容易にしていることを意味する。例えば、整数環と有限体上の1変数多項式環との間の構造の類似においてアンドレ・ヴェイユにより、リーマン予想に類似の問題が解かれた。リーマン予想に関してあえて大雑把にいえば、現在でもこの方向で研究が進められている。 しかし、或る構造の概念の適用が問題を解くにあたって見当違いのこともある。ポアンカレ予想はそれまで多くの研究者にとって役立つと思われていた位相幾何学で扱われる 位相多様体の概念によってでなく、より強い理論である―可微分多様体を扱う微分幾何学の範疇の問題として解かれた。
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