意味論的外在主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:38 UTC 版)
「ヒラリー・パトナム」の記事における「意味論的外在主義」の解説
パトナムの言語哲学に対する貢献のひとつは、「意味は頭の中だけにあるわけではない」と主張したことである。パトナムはこのことを示すのに、「双子地球」論という思考実験を用いて、意味を決定する際に環境的要因が本質的な役割を果たすことを主張する。双子地球とはただ一つの点を除いて地球とすべてが同じ惑星である。唯一の違いは、湖や川や海を満たすのが、地球のように水(H2O)ではなく、XYZという何か他の物質である点である。この結果として、地球人フレデリックは「水(water)」という地球語を使うとき、その語は、双子地球においてフレデリックに対応する双子地球人フロドリックが使う双子地球語の「水(water)」とは違う意味となる。フレデリックとフロドリックは物理的に区別がつかないのだが、二人が何か単語を言うとき、彼らの語の意味は異なっている。つまり彼らの頭の中にあるものだけで意味を決定することはできないのである。この議論を経て、パトナムは、意味と心的内容に関して、意味論的外在主義に与することになった。 近年、心の哲学と言語哲学を研究する哲学者ドナルド・デイヴィッドソンは、パトナムとは多くの点で意見が異なるにもかかわらず、意味論的外在論が、哲学者の世界認識の方法における「反主観主義革命」の一翼を担うものだと書いている。哲学者はデカルトの時代以来、主観的経験に基づいた知識を検証することに関心を持ってきた。パトナムやタイラー・バージを始めとする哲学者たちのおかげで、哲学は今や客観的領域を当然のものとしており、主観的経験の疑わしい「真理」に疑問を呈することができるようになったのである。
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