意味記憶との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/16 00:53 UTC 版)
エピソード記憶は「一回限り」の学習機構であると考えられている。あるエピソードを一回体験しただけで、それを記憶するのである。一方、意味記憶は繰り返し同じ事物を記憶することが影響する。その事物に触れるたびに脳内の意味表現は変化していく。 エピソード記憶は意味記憶に存在する各項目を結びつける「地図」のようなものと考えることができる。例えばペットを飼っている人物の場合、意味記憶で飼い主は通常飼い犬や猫などの外見や鳴き声を記憶している。飼い主のペットに関するエピソード記憶群は「犬」や「猫」という対象動物の意味表現を参照しており、それら各々の対象に関する新たな体験によって飼い主のペットについての意味表現は更新されていく。 研究者によっては、エピソード記憶は常に意味記憶に洗練(精製)されているとも考えられている。その場合、特定のイベントについてのエピソード的情報は一般化され、イベント的詳細は失われる。この考え方の派生として、繰り返し思い出されるエピソード記憶は一種のモノローグとして記憶されるという見方がある。例えば、人がある出来事について繰り返し話をした場合、それは既に当事者にとっては「イベント」ではなくなり、あたかも物語を語っているように感じていることに気づくと指摘されている。 逆に、エピソード記憶は常にエピソード記憶として思い出されるとする見方もある(エピソード記憶は意味記憶に影響を与え、意味記憶の上に成り立っている)。これは、エピソード記憶が最終的に意味記憶へと変化するとは考えない点が上述の考え方とは異なっている。
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