急病のため発語困難な状態での通報
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 19:03 UTC 版)
「119番」の記事における「急病のため発語困難な状態での通報」の解説
脳血管疾患などにより、119番通報してもうまく言葉を発せない場合がある。指令室から『受話器を複数回叩いて』と指示し、応答があれば『緊急事態である』と判断し、緊急車両を出場させる事になっている。 東京消防庁などでは、相手方の応答が無い場合でも『通報者の微かな変化をとことん確認する』ように日頃から指導しており、都内で脳梗塞のために救急要請した男性が発語できず、機転を利かせた指令課職員が、二十三区名を順に読み上げていき、合っていれば受話器を連打するように指示した。これに対して応答があったため、この方法で町名や番地も特定。一命をとりとめたとの事例も発生している。 同様の事例としては、2000年(平成12年)に京都市消防局が脳梗塞症状の男性が2日にわたり計20回も架電したにもかかわらず、発語がなかったという理由から『いたずら電話である』と判断し、救急隊を出場させなかった。当時指令課職員は複数回の架電を確認し、相手方が既に特定できる旨を告げた。しかし、その後さらに架電があったのだから、何らかの緊急事態が発生していると、疾病のためにうまく発語できないと想像するには難くない。 担当した職員は、酩酊で意識朦朧状態の者が電話をしていると感じた旨を供述しているが、意識朦朧状態の発語であると感じたならば、泥酔以外の事由を想定すべきであった。裁判所は、死線をさまよい、医療機関での処置が遅れたことは相当の苦痛・不安が継続したと思われるとし、いたずらを前提とした消防局の対応の不備を認め、慰謝料の支払いを命じている。この男性は、処置の遅延により後遺症が残っている。
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