急流で流されてしまう問題について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 08:51 UTC 版)
「シマアメンボ」の記事における「急流で流されてしまう問題について」の解説
本種のような渓流を生息域とする小さな動物で、しかも底在性でなく遊泳生活をするものの場合、その流れによって次第に下流へと移動させられてしまい、その生息域を維持出来なくなることが想像される。特に本種は普通は無翅型であり飛翔が出来ないためにその危険は大きい。この点について(中尾ほか.2000)は和歌山県のある流水域、長さ60mほどをいくつかの区画に分け、8月から10月の2ヶ月間に渡って個体識別による各個体の移動の様子を調べ、やはり移動する個体はあり、上流へ移動するよりも下流へ移動する個体が多かったが、それでも同じ位置を維持したものが多かったという結果を得ている。雨による増水の後は下流に移動するものが多かったと言うことから本種は流れに逆らって運動するとしても急流をさかのぼることは出来ないと思われ、また全く上流ぬ向けての移動が見られなかった区画の間では高さが1.5m以上の落差があり、この高さを超えることが出来ないだろうことも判断出来る。それでも同じ位置を維持する仕組みとしては普段の流れに逆らう運動の他に増水時には岸辺の水溜まりや陸に逃げ、あるいはそのような場所を利用して陸路で移動することなどが想定されるという。 なお、このような移動、特に上流への移動に関しては飛行能力のある有翅型の関与が考えられるが、詳しくは分かっていない。
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