心肺停止と三徴候説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 19:44 UTC 版)
欧米では三徴候説が死の診断基準として普及するまで心肺停止(瞳孔散大を除いた呼吸停止と心停止)が死の診断基準とされていた。三徴候説とは呼吸停止(呼吸の不可逆的停止)と心停止(心臓の不可逆的停止)に加えて瞳孔散大という3つの徴候をもって人の死の診断基準とするものである。瞳孔散大ないし対光反射の消失は脳幹機能の消失と機能的には重なる部分があり、20世紀前半にはこれを基準に加えた三徴候説が死の判断基準として普及した。 日本のマスメディアでは自然災害や事故に遭遇して死亡し、医師あるいは歯科医師による死亡確認・宣告がまだ行われていない状態の人について「心肺停止」「心肺停止状態」と表現される。 医学界では、実際には死亡していても、心停止と呼吸停止のほかに脈拍停止と瞳孔散大(散瞳)を確認して医師が死亡を宣告しなければ法的に確定しないとされており、医師・歯科医師以外の者(救助要員や警察官・海上保安官・報道関係者など)は心停止・呼吸停止を判断することはできても、死亡を宣告することはできないことが理由である。ただし例外として、救急隊が到着した時点で、既に死後硬直が始まっているか死斑が現れている、低体温であるなどいった状況から救急搬送する意味がもはやなくなっている場合、救急隊の判断で死亡判定がされることがある。電車による轢死など、身体が断裂、欠損、圧潰、炭化して生命維持が不可能なことが一目で分かる場合なども同様である。 事故・災害現場において、まだ救出できておらず、医師や歯科医師も近づけない状態にある遺体や、病院に運ばれている途中の遺体は、医師または歯科医師による死亡が未宣告であり「心肺停止」とされる。 日本国外のメディアでは、日本のメディアが「心肺停止」と報じていても、海外の報道では「死亡」「遺体」に該当する語が用いられることもある。
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