平家物語におけるこづちと鬼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/24 22:38 UTC 版)
「うちでのこづち」の記事における「平家物語におけるこづちと鬼」の解説
『平家物語』巻6「祇園女御の事」には、うちでのこづち自体は登場しないが、うちでのこづちを持った鬼が出たという噂が立ったとする話が記されている。 祇園女御(平清盛の母親)が白河法皇の愛人だった頃、ある夜その祇園のほとり住まい近くの御堂に、手には「聞こゆる打出の小槌」らしいものが輝き、頭髪も針の山のごとく光る人影が出現し、鬼であると周囲が恐怖した。北面の武士として護衛に付添っていた平忠盛に成敗を命じたところ、それは灯籠をともすためにはたらいていた油つぎの法師であったと判明した。手に持った燃えさしを入れた容器が小槌、頭にかぶっていた雨よけの麦藁が針のような髪と誤認されたのだった。『源平盛衰記』で書かれている同説話では「土器に燃杙(もえぐい)を入れて」おり、これが消えぬように息で吹くと「ざと光り、光るときは小麦の藁が輝き合ひて、銀の針の如くに見えけるなり」と描写されている。 ここに書かれている「聞こゆる打出の小槌」という表現から、鬼の持物として「うちでのこづち」が有名であったことがうかがえられ、説話や物語などに見られる鬼の登場する物語がその原典であろうことが考察されている。 『保元物語』でも源為朝が鬼ヶ島に住む鬼の子孫たちから失われた鬼の宝を聞き出す場面などがあり、そのような説話の上で鬼たちのもつ宝物に「うちでのこづち」が加わっていたものと推察されている。『保元物語』で登場している鬼の宝物は諸本によって記述が違い「隠蓑、隠笠、浮履(うきぐつ)、沈履(しづみぐつ)、剣」とその存在がうかがえないが、半井本系統では「うちでの履」という宝物の名があり「うちでのこづち」の誤記ではないかと見られる。
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