帰無仮説と対立仮説
仮説検定の第 1 段階は,検定すべき母数についての仮説を立てることである。
- 研究者はある理論から予想される事実を証明するために,調査または実験を行い,データを収集する。
- この際の作業仮説(または実験仮説)を対立仮説 H1 とする。
例えば,“新しく開発された薬剤は,従来薬より有効である”とか,“男と女で読書時間に差がある”というのが対立仮説である。
- これに対して,作業仮説を否定する仮説を帰無仮説 H0 とする。
例えば,前の例では,“新しく開発された薬剤は,従来薬より有効とはいえない”とか,“男と女で読書時間に差はない”というのが帰無仮説である。
- 仮説検定の対象となるのは帰無仮説で,もし,以下の手順により帰無仮説が 棄却 されれば,対立仮説が支持されることになる。
つまり,帰無仮説は棄却されて始めて研究者の調査・実験意図が達せられるわけでこの意味で 帰無仮説(無に帰される仮説)と呼ばれる。
- しかし,帰無仮説が採択されたからといっても,必ずしも帰無仮説として述べられた内容が正しいことにはならない。
大数の法則から言えば,標本サイズが大きくなればなるほど,母数のより正確な情報が得られ,対立仮説が正しい場合には帰無仮説は棄却されやすくなる。
このため,帰無仮説が採択された理由として,真に対立仮説が誤っている場合と,対立仮説は正しいのだが標本の大きさが不十分であるために帰無仮説を積極的に棄却するには至らなかった場合の二通り考えられるからである。
帰無仮説 と対立仮説と同じ種類の言葉
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