居酒屋_(小説)とは? わかりやすく解説

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居酒屋 (小説)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/17 07:18 UTC 版)

居酒屋
L'assommoir
1877年版の表紙
作者 エミール・ゾラ
フランス
言語 フランス語
ジャンル 長編小説
刊本情報
出版年月日 1877年
シリーズ情報
次作 ナナ (小説)
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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1879年アメリカで舞台劇として上演された際のポスター、オーガスティン・ダリーの絵

居酒屋』(いざかや、原題:L'assommoir )は、フランスの文豪エミール・ゾラ1877年に書いた自然主義の小説で代表作。20巻シリーズのルーゴン・マッカール叢書の第7巻。原題の「ラソモワール」は、この物語の中で頻繁に登場する居酒屋の名前。小説『ナナ』は本作の主人公ジェルヴェーズの娘ナナの成長後を描いた作品である。

あらすじ

若く美しいジェルヴェーズ (Gervaise) は、クロード (Claude) とエティエンヌ (Etienne) という息子2人と恋人のランティエ (Lantier) と一緒にパリに住んでいる。ランティエは何も言わずに稼いだ金を持ったまま失踪してしまい、置き去りにされたジェルヴェーズは貧苦に悩む。しかしジェルヴェーズはクーポー (Coupeau) という労働者を知り、クーポーは彼女を愛し、決して暴力はふるわないと約束し、二人は結婚し、よく働いて3年がたち、アンナ (Anna) という娘が生まれる。ジェルヴェーズは洗濯屋を開く。

ある日、通りから呼んでいるナナを見るために、クーポーは窓の近くに寄り、そこから地上に転落し、働けなくなり、酒びたりになる。ある日の昼飯の時、ランティエが戻ってきて三人が奇妙な同居を始める。クーポーはジェルヴェーズを叩くようになり、ランティエはよく働くジェルヴェーズとの関係を復活させる。ジェルヴェーズの同居は土地の人の反感をかい、店はさびれ、金がなくなり、ランティエは去ってゆき、クーポーは気が狂って病院で死ぬ。ジェルヴェーズは孤独のまま死に、死後2日たって発見された。

登場人物

  • ジェルヴェーズ・マッカール (Gervaise Macquart)
洗濯女。足が不自由。1828年生まれ。
4歳年上のランティエとの間に14歳でクロードを、18歳でエチエンヌを産む。
クーポーと結婚後に洗濯屋を開業。クーポーとの間にアンナを産む。
  • アンリ・クーポー (Henri Coupeau)
ジェルヴェーズの夫。ブリキ屋根職人。屋根から落下し怪我をして以来、酒の味を覚えアルコール依存症となる。またジェルヴェーズやアンナへ暴力を振るう。
最終的にサント・アンヌ病院に7回抑留され、そこで死亡した。
  • オーギュスト・ランティエ (Auguste Lantier)
ジェルベーズの内縁の夫。帽子屋。クロードとエティエンヌの父。
駆け落ちしジェルヴェーズの前から姿を消す。後にクーポー夫妻の店に居候する。
  • クロード・ランティエ (Claude Lantier)
ランティエとジェルヴェーズの長男。制作の主人公。1842年生まれ。
  • エチエンヌ・ランティエ (Etienne Lantier)
ランティエとジェルヴェーズの次男。グージェと共に鍛冶場で働く。ジェルミナールの主人公。1846年生まれ。
  • アンナ・クーポー (Anna Coupeau)
クーポーとジェルヴェーズの娘。造花女工になるが、後に家出。ナナの主人公。1852年生まれ。
  • グージェ (Gouje)
鍛冶屋。クーポー夫妻の隣人。母親と同居している。ジェルヴェーズに思いを寄せ、洗濯屋の開店資金を貸す。
  • ロリユ夫妻 (Les Lorilleux)
クーポーの次姉と夫。金細工職人。ジェルヴェーズを良く思っていない。アンナの名付け親。
  • クーポー婆さん (Maman Coupeau)
クーポーの母。クーポー夫妻と同居。
  • マダム・ルラ (Madame Lerat)
クーポーの長姉。造花女工。未亡人。
  • ヴィルジニー・ポワソン (Virginie Poisson)
ランティエの駆け落ち相手であるアデールの姉。ジェルヴェーズとは小説の冒頭で大喧嘩する。後にポワソンという巡査と結婚。
  • ボッシュ夫妻 (Les Boche)
クーポー夫妻の住むアパートの門番。
  • コロンブ (Le père Colombe)
居酒屋「ラ・ソモワール」の主人。
  • バズージュ (Le père Bazouge)
葬儀人夫。
  • ビジャール (Le père Bijard)
酒乱の錠前職人。妻や娘のラリーを暴行の末に殺す。

日本語訳一覧

  • 「酒場」 水上斎訳 天佑社、1923年
  • 木村幹訳 新潮社、1923年、復刻 本の友社、1999年
  • 「酒場」 原田譲訳 榎本書店、1926年
  • 河原万吉ほか訳 潮文閣、1927年
  • 斎藤一寛訳 上・下 春陽堂世界名作文庫、1932-33年、角川文庫、1956年、復刻版・ゆまに書房、2008年
  • 田辺貞之助河内清共訳 上下 三笠文庫、1952年、岩波文庫、1955年/集英社・筑摩書房版「文学全集」にも収録
  • 戸張智雄訳 三笠書房、1956年
  • 関義安東次男訳 上・下 青木書店、1956年、関義・改訳、旺文社文庫、1966年
  • 黒田憲治訳 河出書房新社、1961年、新版1967年、1980年
  • 古賀照一訳 世界文学全集 新潮文学全集 新潮社、1970年、新潮文庫 改版2006年
  • 清水徹訳 世界文学全集 集英社、1974年、新版1978年、1990年

映像化

居酒屋 (1931年の映画)
アメリカ合衆国の映画
原題:The Struggle
監督:D・W・グリフィス
主演:ハル・スケリー英語版
居酒屋 (1933年の映画)
フランスの映画
原題:L'Assommoir
監督:ガストン・ルーデ
主演:リーヌ・ノロ
居酒屋 (1956年の映画)
フランスの映画
原題:Gervaise
監督:ルネ・クレマン
主演:マリア・シェル

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