対銀冠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 14:50 UTC 版)
第1図 銀冠の一例△持駒 なし ▲持駒 なし図は△4四歩まで 第2図 銀冠の進行例1△持駒 なし ▲持駒 なし図は△3二金まで 第3図 銀冠の進行例2△持駒 なし ▲持駒 なし図は△3二金まで 第4図 銀冠の進行例3△持駒 歩 ▲持駒 歩二図は▲4五歩まで 振り飛車穴熊への銀冠は中原誠・森下卓・佐藤秀司らが得意としている。玉頭の厚みと駒の連結の良さで優れた銀冠は飛車交換をするだけのような単純な攻めに強く、振り飛車穴熊の玉頭にも圧力をかけることができ、△2五歩〜△2四角と活用して振り飛車の攻撃陣を牽制できる。振り飛車側がこれらの抑え込みを破るのは容易でなく居飛車からの攻撃手段も豊富であるが、居飛車が銀冠を築くために角道を止めれば(第1図)▲6五歩と突いて(角交換から飛車先を破られる筋がないため)▲6六銀~▲5五歩といった攻撃陣を敷くことができ、手には困らないが、第2図のように進めていくと、後手に3五~2五と次々と位をとられて主導権を握られるため、第3図~第4図のように4筋の位を取って左金を攻めに活用するなどの手段がある。 居飛車が角道を止める手を保留した場合にはどう手を作るかが課題であったが、第3図から袖飛車への転換や金を繰り出す筋を残す、△2四角の筋に備えるために左金は▲4六歩~▲4七金と活用を用意し(▲3八金寄と引き寄せると作戦負け)△2五歩からの玉頭攻めに備えて▲3七金寄を作るのが急所である。 また、居飛車は銀冠から穴熊に組み換えるのも有力で、振り飛車は袖飛車で対抗するなどの手段がある。 第1-1図 穴熊対銀冠その1-1△達 持駒 香歩 ▲羽生 持駒 角香歩三図は△1九龍まで 第1-2図 穴熊対銀冠その1-2△達 持駒 香歩 ▲羽生 持駒 歩三図は▲6一角まで 第2図 穴熊対銀冠その2△森内 持駒 香歩 ▲羽生 持駒 歩三図は△3六馬まで くみ上げて以降は端攻め等を敢行するのが主流で、一例として上の図は先手の居飛車銀冠、いずれも指し手は羽生善治。第1-1図は1989年の王将戦予選の途中経過で、以降の進行は▲8六龍△9三銀▲9八香△8八金▲6一角(第1-2図)。第2図は2005年2月の王将戦第4局で以降は▲9四歩△同歩▲9五歩△同歩▲9四歩△同香▲9二歩△同玉▲9五香△同香▲9三歩、で後手が投了している。
※この「対銀冠」の解説は、「振り飛車穴熊」の解説の一部です。
「対銀冠」を含む「振り飛車穴熊」の記事については、「振り飛車穴熊」の概要を参照ください。
- 対銀冠のページへのリンク