対外的敵対関係と集団の凝集
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/26 04:16 UTC 版)
「紛争理論」の記事における「対外的敵対関係と集団の凝集」の解説
コーザーは、敵対する集団(否定的準拠集団)の存在はその社会集団の成員の集団に対する帰属意識を強化し、周囲の社会集団との区別をより鮮明にすることを指摘した。つまり、ある集団の成員が共通の対立勢力の登場によって生まれた敵対的感情によって一つに結束し、他の諸々の集団とは異なる特質をより明確にしていくということである。このことは、それまで社会に散らばっていた様々な人を、共通する敵意によって結集し、新たな社会集団を形成する重要な動機ともなることを意味している。 さらに、他集団との闘争は集団の凝集性を高めることも指摘している。例えば第一次世界大戦や第二次世界大戦のように、自国の脅威となる敵国の存在が国家のアイデンティティーを強化し、国家に対する国民の貢献を促進する作用を及ぼす場合などが該当する。しかし、この他集団との闘争は逆に集団の凝集性を弱め、内部分裂による集団崩壊の危機をもたらす場合もある。特に、闘争が起こる以前に致命的ともいえる内部紛争がある場合、敵対的集団に対して圧倒的不利な状況にある場合には、かえって集団の崩壊を促進させてしまうことがある。
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