家族関係とプライバシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 15:24 UTC 版)
「ビアトリクス・ポター」の記事における「家族関係とプライバシー」の解説
ポターは母親とはその最期まで疎遠な関係であったが父親との関係は良好であった。父のルパートは若い頃、法律の勉強の合間に気晴らしで絵を描くなど絵画にも強い興味を持っており、幼いころのポターに影響を与えたと思われる。弟のバートラムは幼いころは遊び相手として、また結婚を後押ししてくれた大事な家族であった。弟が姉より先に死んでしまったことについて、その悲しみをローンズリーへの手紙でつづっている。ポターは独立心が強く、親に縛られていた時期は陰鬱とした生活だったようで、ポターは後年になって生家のことを「私に愛されたことのない生家」と呼んでいる。抑圧された生活の中でポターは数々の名作絵本をつくりだしたが、結婚して独立してからはヒーリス夫人と名乗り、他人からもそう呼ばれることを望んでおり、猪熊葉子は「ビアトリクス・ポターの名前を惜しげもなく捨てた」と表現している。マーガレット・レインはただ名前が変わったのではなく、両親から自立し別の人間になったことの証だろうと述べている。 ポターはプライバシーを守ることに関しては徹底した人物であった。マーガレット・レインがポターの伝記の執筆許可を得るため手紙を書いたときは非常にそっけない返事が返ってきたという。ポターの死後、改めて夫のウィリアムに連絡を取ったレインは、ウィリアムは伝記の執筆を許可することが妻への裏切りになると考えているようだったと述べている。近所に住んでいたものの話では、ニア・ソーリーの家には隠し階段があり、好奇心で自分に近づく人間が玄関に来ると、隠し階段から逃げ出していたそうである。ナショナル・トラストへの寄付も匿名で行っていることが多く、手違いにより寄付者の名前が公表されてしまったときなどは、不快感をあらわにしている。ポターの遺灰は羊飼いのトム・ストーリーによってヒル・トップ農場に撒かれたが、その場所は秘密とされ、たとえ夫のウィリアムであっても教えてはならないと言いつけている。
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