客層と対策への意見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 23:26 UTC 版)
書店、文具店、レコード店の店主には、万引き対策に非常に力を入れる者がいる。これらの店で万引き被害が多い理由を、馬渕哲と南條恵は、これらの店で古くからセルフサービス方式が採られている上に扱う品物が子供たちの興味を引きやすいためだと分析した。そのため、これらの店の中には「万引きお断り」「防犯カメラ設置」といった掲示を貼ったり、客が入ってくると威嚇の気持ちを込めて「いらっしゃいませ」と言ったり、さりげなく客の後をつけたりするものもある。このように露骨な万引き対策をすればさすがに万引きは減るが、万引きをするつもりのない正直な買い物客にとっても感じの悪い店になってしまい、客足が遠のいてしまう。近隣に競合店がなければこのような店でも客は仕方なく買い物をするが、買い物をしやすい競合店が進出すると万引き犯のみならず正直な買い物客までそちらへ流れてしまう。このように万引き対策には大きなジレンマがある。万引き対策をすれば確かに万引きは減るが、同時に客足まで遠のいてしまうのである。 古着の無人店舗チェーンである「秘密のさくらちゃん」でも、無人店舗ながら遠隔からカメラで監視している。一方で顔認識システムを含む監視システムを「AIブッダ」と命名することで客の善意に訴えかけるなど、店舗を「ゆるい」雰囲気とすることで反発を和らげながら万引きを防止している。 また、店主や店長はともかく、一般の店員は、万引きに気づいたときの対処法についてマニュアルなどで教育を受けていたとしても、いざ万引きの現場を発見したときは見て見ぬふりをしてしまいがちである。万引きをされても、雇われた店員は直接に自分が損するわけでもなく、せいぜい店主や店長に小言を言われるだけである。万引き犯を警察に引き渡したりするのは小言を言われるより煩わしいし、万引き犯に逆上でもされれば身に危険さえ及び兼ねないので、悪事を見逃す後ろめたさはあっても、万引きに気づきたくない心理が働くのである。万引き犯の柄が悪かったり身体が大きかったりすればなおさらである。
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