実験検証
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/25 06:42 UTC 版)
2005年に、ルドルフ・グリムとハンス-クリストフ・ネゲールが率いるインスブルック大学(オーストリア)のグループが、セシウム原子の気体を用いてエフィモフ状態を実験的に確認した。彼らの発見は、2006年に科学雑誌ネイチャーから出版された。エフィモフ状態の存在に関するさらなる実験的な証拠は、近年独立の実験グループにより与えられた。エフィモフによる純粋に理論的な予言から40年後にして、エフィモフ状態の特徴的な周期性が確認された。スケール因子の最も正確な実験値は、ボ・ハンの率いるインスブルック大学の実験グループにより 21.0(1.3) という値が得られた。これは、エフィモフによる予言と非常に近い値である。 冷却原子気体における「普遍的な現象」への関心は、長く期待されていた実験結果が得られる段階に至って、一層高まっている。エフィモフ状態と関連した冷却原子気体における普遍性を議論する研究分野は、しばしば「エフィモフ物理」と称される。 エフィモフ状態は、粒子間に働く相互作用の起源に依存せず、原理的には分子、原子、原子核などあらゆる量子力学的な系で観測されうる。三体エフィモフ状態の大きさは、粒子間に働く力の到達距離よりもずっと大きい。このことは、古典力学的な束縛状態は力の到達距離程度の大きさしか持ち得ないことから、エフィモフ状態が極めて「非古典的」であることを意味している。同様の現象は、リチウム11などの中性子ハロー核でも観測されている(エフィモフ状態の定義によっては、これらのハロー核もエフィモフ状態と言える)。 近年、チェン・チンが率いるシカゴ大学の実験グループと、マティス・ヴァイデミュラーが率いるハイデルベルク大学のグループが、リチウム原子とセシウム原子の混合気体においてエフィモフ状態を観測した 。これは、同種ボソンにおけるエフィモフの当初の議論を拡張するものである。 さらにヘリウム原子でもエフィモフ状態が観測され、その波動関数の形状が観測された。
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