実行行為概念との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 23:44 UTC 版)
理論的には、実行行為(構成要件を実現する現実的危険性をもつ行為)概念を中心とした従来の刑法学の体系との整合性が問題となる。 反対派の意見 共謀罪の創設によって主要な犯罪類型のほとんど(2006年1月の時点で619個の犯罪が共謀罪の対象となるとされる)が、実行行為が存在しなくても処罰可能となるため、「正犯にせよ共同正犯にせよ狭義の共犯にせよ、実行行為に直接つながる行為をすることによって、法益侵害(構成要件の実現)の現実的危険性を引き起こしたから処罰される」という従来の刑法学の基本的発想が崩れてしまう可能性がある。 賛成派の意見 反対論は組織要件が厳密化していることを無視した議論である。 テロ等を含む組織的な犯罪は、綿密な計画の下に役割分担をして実行されるという特質を有し、ひとたび発生すると甚大な被害となることから、未然防止が要諦となる。実行に至る前に情報収集する必要性が高く、外国のように幅広い通信傍受や身柄の一時拘束などの特別権限、犯罪の実行に着手する前の段階の一定の行為を処罰の対象にする共謀罪が必要である。このような犯罪の共謀に限って捜査の対象にすることは、日本の刑事法の在り方とも整合的する。日本の現在の刑事法においても、一定の罪の予備・陰謀、あおり等を処罰の対象にしているのである。
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