実現手法の解明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/07 05:15 UTC 版)
2008年6月の発表当初、世界中のウェブサイトの閲覧履歴がどうして参照できるのかという疑問が投げかけられた。従来の行動ターゲティング広告では、アドネットワークと呼ばれる同じ広告システムを採用した多数のウェブサイトで、自動的に発行される第三者cookieを用いることで、同じ人がどこのサイトを訪れているかを調べる方法が一般的である。それに対しad4Uは、cookieを使用していないとされ、アドネットワークにも依存しないとされていることから、その実現方法について疑問視されていた。しかし、楽天とドリコムは特許出願中であることを理由に、どのような方法でそれを実現しているのかについてコメントを避けていた。 この疑問が、2008年10月にNIKKEI NETの記事で解明された。楽天ad4Uは、Adobe Flash オブジェクトの中に数千個のURLへのリンクを埋め込み、それぞれのURLを訪れた形跡があるか否かによって、ユーザーのアクセス動向を調べる。このようなことができるのは、ウェブブラウザーがURLへのリンクを表示する際に、訪問済みのURLと未訪問のURLとで異なる色で表示することについて、そのどちらの状態であるか、Cascading Style Sheets(CSS)をJavaScriptによって参照することで判別できるためである。 このようなリンク先の訪問の有無の判別ができてしまうことは、それ自体がユーザーのプライバシーを損ねるものであり、例えば、自作のウェブサイトに知人のアクセスを誘って、その知人が特定のアダルトサイトを訪れたことがあるか否かを調べることができてしまう。CSSのこのような問題は古くから知られており、オープンソースのウェブブラウザーであるFirefoxでは、2002年5月の時点で 「Bug 147777」 としてBugzillaに登録され、解決方法について長らく公開の場で議論されていた問題であった。なお、2010年3月に正式公開されたFirefox4ではこのような手法は一切利用できなくなっている。 ただし、楽天ad4Uでは、用意されたリンク先のそれぞれの閲覧の有無の情報をサーバーに送信することはなく、ウェブブラウザー上で訪問済みのリンクを集計して、広告分野を示すカテゴリー番号に変換し、サーバーにはそのカテゴリー番号だけを送信する方式になっており、cookieを使ったユーザー識別もしないため、従来の第三者cookieとアドネットワークを組み合わせた行動ターゲティング広告で指摘されてきたようなプライバシー上の問題はないとされている。
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