宗教体験と遊学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 23:32 UTC 版)
得度した後、虚空蔵菩薩に真剣に祈り、主体的な思索を重ねた結果、日蓮はある日、各宗派や一切経の勝劣を知るという重要な宗教体験を得た。 次に日蓮は、この宗教体験を経典に照らして確認し、各宗派の教義を検証するため、比叡山延暦寺・園城寺・高野山などに遊学することになった。 遊学の中心は延暦寺で、滞在したのは比叡山横川の寂光院と伝えられる。比叡山での研鑽の結果、日蓮は「阿闍梨」の称号を得ている。比叡山で日蓮は、妙法蓮華経(法華経)を中心とする文献的な学問と、いわゆる天台本覚思想を学んでいる。恵心流の碩学・俊範を比叡山における日蓮の師とする説もあるが、日蓮は俊範から学んだとは述べておらず、実際には俊範の講義に参加していた程度と考えられている。 遊学中に日蓮が書写した文献には「授決円多羅義集唐決上」と「五輪九字明秘密釈」がある。著作としては「戒体即身成仏義」など数編が伝えられるが、いずれも真筆はなく、偽書の疑いがある。十数年に及んだ遊学の結果、日蓮は、一切経の中で妙法蓮華経(法華経)が最勝の経典であること、天台宗を除く諸宗が妙法蓮華経(法華経)の最勝を否認する謗法(正法誹謗)を犯していること、時代が既に末法に入っていることを確認し、32歳で南無妙法蓮華経の弘通を開始することになった。
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