完備局所環係数の形式的冪級数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 08:05 UTC 版)
「ワイエルシュトラスの予備定理」の記事における「完備局所環係数の形式的冪級数」の解説
完備局所環Aの元を係数とする形式的冪級数環についても同様の定理があり、これもワイエルシュトラスの予備定理と呼ばれている。 f = ∑ n = 0 ∞ a n t n ∈ A [ [ t ] ] {\displaystyle f=\sum _{n=0}^{\infty }a_{n}t^{n}\in A[[t]]} を冪級数で少なくとも1つの係数 a n {\displaystyle a_{n}} はAの極大イデアル m {\displaystyle {\mathfrak {m}}} に含まれないものとする。このとき、一意的に定まる A [ [ t ] ] {\displaystyle A[[t]]} の可逆元 u と多項式 F = t s + b s − 1 t s − 1 + ⋯ + b 0 {\displaystyle F=t^{s}+b_{s-1}t^{s-1}+\dots +b_{0}} で係数が b i ∈ m {\displaystyle b_{i}\in {\mathfrak {m}}} となるものが存在して f = u F {\displaystyle f=uF} が成り立つ。この F のように、モニックで低次の項の係数が極大イデアルに含まれる多項式は特殊多項式(distinguished polynomial)と呼ばれる。 A [ [ t ] ] {\displaystyle A[[t]]} も完備局所環であるから、繰り返しこの分解を使うことによって、多変数の形式的冪級数についても同様の分解が可能であることがわかる。 例としてこの定理をp 進整数環に適用してみる。すると、p 進数を係数とする任意の冪級数f (z)は、冪級数環における可逆元u(z)と特殊多項式p(z)と1つ選んだ素元π を使ってπn·u(z)·p(z)と一意的に分解できることがわかる。 岩澤理論では、ワイエルシュトラスの予備定理と除法定理を環 Z p [ [ t ] ] {\displaystyle \mathbf {Z} _{p}[[t]]} (この環は岩澤代数(英語版)とも呼ばれている)に適用することにより、この環上の有限生成加群の具体的な記述を得ている。
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