学生共済会委員たち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 05:09 UTC 版)
食堂の奥の間で駄弁っている深見の経済学部の同級生たち。「共同の敵」とも見なす深見が食堂にやってきたのを冷やかすが、深見に「革命家諸君」と逆襲されて激高し、険悪な雰囲気になる。両者の対立は、彼らがあまり自分たちと打ち解けようとしない深見から心理的圧迫を感じ取っていることに加え、彼が自分たちよりも急進的な永杉の一派に近づいているからという理由によるものであるが、しかしその一方で深見の境遇に同情し、政治運動への深入りを心配している面もある。深見もまた彼らが活動家として優れており良心的であることを認めつつも、どうしてもなじむことができない。「パンフレット読み」と呼ばれ、永杉らからはその左翼としての理論的・思想的な浅薄さを嘲られている。 小泉清 一座のリーダー格の学生。永杉らとは異なって政治的にはより穏健な立場であり、自分が「合法主義者」と呼ばれていることを自覚している。近く予想される「日支の衝突」は日本の資本主義体制の危機ではないため、したがって左翼運動は今しばらく時機を待つべきであるとの判断を持っている。深見が永杉らのグループに深入りすることを心配し、永杉らに警察の弾圧の手が及びつつあることに気遣いを見せるが、永杉からは時局に対する日和見な態度を厳しく批判されている。 谷口順次 青森の地主の息子で経済的には余裕があり、深見に金を貸したこともある。やや軽薄な性格で深見と千代子の仲を冷やかすが、逆に深見から「リッチモンド・バア」の「エロ・サーヴィス」目当てで通い詰めていることを揶揄されたため、深見の恋愛はどうなのかと反論する。 赤松三男 深見にアルバイトの紹介を頼まれている世話好きの学生。学生の間を飛び回って皆の意見をまとめる一方で、学外では農民組合と連絡を持ち地道なオルグ活動に励んでいる。女学生の家庭教師のアルバイトをしている。深見の境遇に同情し、共済会にアルバイトの口を催促するよう助言する。 美沢多一郎 小説を書いている文学青年。お人好しでひょうきんなムードメーカー。鼻の親父に外套を質入れして金を借りている。 江後保 関西弁を話すのんびりした学生。
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