始祖・行成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 05:38 UTC 版)
平安時代中期、唐の衰頽にともない遣唐使が廃止され、国風文化の確立によって仮名が誕生した。そして、漢字は仮名に調和させるため、中国書法とは趣を異にした日本的な書法に変化、つまり和様化された。その和様書道の開祖は小野道風、完成者は藤原行成といわれる。 行成は道風の書を受け継ぎ、洗練を重ねて独自の書の世界を展開し、一条朝から白河・鳥羽朝までの130~140年間は行成の書風が一世を風靡した。その書風は、後世、世尊寺流と呼ばれ、和様書道において最も根幹的な役目を果たした流派となり、後の法性寺流、持明院流、御家流を生んでいる。 行成の代表作『白楽天詩巻』は、道風の重厚鈍重さと、佐理の極端な抑揚法を取り去り、中国風を完全に消し去っている。それは平衡がとれた和様の書の基準的な書きぶりに至っており、女手の『寸松庵色紙』とともに日本書道史上の頂点に位置する。
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