天皇制との関係における問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 07:24 UTC 版)
「首相公選制」の記事における「天皇制との関係における問題」の解説
国民による直接選挙により国政の最高指導者が選出されるとき、その指導者は極めて強い正統性を帯びることになる。アメリカ合衆国大統領のように、通常、共和制をとる国では大統領が元首とされる。日本で首相公選制を採用する場合、国民が直接選出した公選首相と国民統合の象徴である天皇との関係が問題点として指摘される。公選首相は国民を直接代表する地位にあるため必然的に大統領的な性質を帯びるものとなり、日本国及び日本国民統合の象徴であり事実上元首としての役割も担っている天皇の地位と矛盾するのではないかという問題がある。このような懸念に対しては、天皇は歴史と文化を背景とする精神的統合の象徴であるのに対し、公選首相は行政権の執行を委ねる統合者であり次元を異にするとの指摘もある。 「首相公選制を考える懇談会」報告書の第一案(国民が首相指名選挙を直接行う案)においては、天皇の元首性について学説においては区々に分かれている現状の下で、国民の直接選挙によって国民の総意として首相が選ばれ行政権を掌握することとなれば、首相は実質的に大統領と首相の地位を兼ね備えることとなり、現行の任命制度を維持しても学界・政界を中心に一層論議が紛糾するおそれが大きいとして、天皇の元首性を明確化すること、衆議院議長及び参議院議長については院の指名に基づいて象徴元首としての天皇が任命すること、全権委任状並びに大使及び公使の信任状については認証ではなく天皇の国事行為とすることなど、元首にかかる規定を整備すべきとの意見が出された。
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