天然酵母表示問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 14:14 UTC 版)
「天然酵母」との言葉に対する統一的な定義は無く、現在の日本では野生酵母を使用して製作した物品に対して使用されている事が多い。 「天然酵母表示問題」とは、工場由来の酵母(ドライイースト)やベーキングパウダーでは無く野生酵母を自家採集捕獲し培養した種を使用したパンに天然酵母種あるいは天然酵母などの様に天然を接頭語として使用する事で、 「自然」「安全」「ヘルシー」の優良なイメージ付け 工場由来の酵母が不健康との誤認を誘う表示 が行われている問題である。背景には、日本のパン業界では「製パン用酵母」の呼称として、英語の「イースト」が慣用的に使用され、原料表示している。しかし、野生酵母を独自に採集捕獲し培養してパン製造に用いる伝統的な手法は、優良株に遭遇出来た場合、人為添加していない乳酸菌の作用 と相まって工場由来の酵母とは異なった複雑な美味しさをもったパンが生産出来ることもあるが、劣悪な野生酵母菌株に遭遇すると発酵力が弱く膨らみや風味に欠けるパンになってしまう。従って、品質安定性とコストの面から大量生産を行う工場では不安定な野生酵母は採用されずパン製造に適した株を選抜し純粋培養した「工場由来の酵母」 が使用されているが、この内容を正しく理解している一般消費者は少ない。従って、天然酵母に変わる適切な表示が望まれるとする見解がある。
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