大覚寺古墳群とは? わかりやすく解説

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大覚寺古墳群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 22:38 UTC 版)

大覚寺
古墳群
大覚寺古墳群の位置
大覚寺古墳群分布図

大覚寺古墳群(だいかくじこふんぐん)は、京都府京都市右京区嵯峨大覚寺門前登リ町・嵯峨大沢柳井手町・嵯峨大覚寺門前堂ノ前町にある古墳群。2基が宮内庁により陵墓参考地に治定されている。

概要

京都盆地(山城盆地)西部の有栖川扇状地に築造された古墳群である。円墳3基(1・3・4号墳)・方墳1基(2号墳)の古墳4基から構成される。いずれもこれまでに発掘調査が実施されている。

古墳群のうち最大規模の古墳は1号墳(円山古墳)で、直径50メートルの大型円墳である。埋葬施設は全長14.7メートルにおよぶ大型の両袖式横穴式石室であり(現在は閉塞)、石室内からは竜山石製の組合式家形石棺2基のほか、装飾付大刀・耳環・馬具・須恵器土師器などの副葬品が検出されている。2号墳(入道塚古墳)・3号墳(南天塚古墳)・4号墳(狐塚古墳)は中規模の円墳または方墳で、いずれも埋葬施設は両袖式横穴式石室である。2・3号墳の石室内では、竜山石製の家形石棺片や装飾付須恵器が検出されており、特に3号墳では新羅土器が出土した点で注目される。

営造時期は、古墳時代後期-終末期6世紀後半-7世紀前半頃と推定され、1号墳(円山古墳)→3号墳(南天塚古墳)→4号墳(狐塚古墳)・2号墳(入道塚古墳)の築造順と見られる[1]。嵯峨野地域では代表的な後期古墳群の1つであり、蛇塚古墳などの周辺の古墳と合わせて、古代の太秦・嵯峨野地域を考察するうえで重要視される古墳群になる。

遺跡歴

一覧

大覚寺古墳群の一覧[5][3][1]
古墳名 形状 規模 埋葬施設 石室規模 出土品 築造時期 備考
1号墳
(円山古墳)
円墳 直径50m 両袖式横穴式石室
(内部に組合式家形石棺2基)
14.7m 装飾付大刀・耳環・馬具・須恵器土師器 6世紀後半 宮内庁治定「円山陵墓参考地」
1951年石室発掘調査
1975年周濠発掘調査
2号墳
(入道塚古墳)
方墳 25m×30m 両袖式横穴式石室
(内部に組合式家形石棺)
推定11m 須恵器(装飾付須恵器含む) 7世紀初頭-前半 宮内庁治定「入道塚陵墓参考地」
1958年石室発掘調査
1975年周濠発掘調査
3号墳
(南天塚古墳)
円墳 両袖式横穴式石室
(内部に組合式家形石棺)
残存長8.1m 金環・須恵器(装飾付須恵器含む)・新羅土器 6世紀後半-末 現在は埋没
1975年発掘調査
4号墳
(狐塚古墳)
円墳 直径28m 両袖式横穴式石室 残存長6.8m 須恵器 7世紀初頭-前半 1970年墳丘測量・石室実測調査(第1次調査)
2014-2018年度墳丘測量・発掘調査(第2-5次調査)
2020年度周辺試掘調査

脚注

  1. ^ a b 花熊祐基 2016.
  2. ^ 外池昇「円山陵墓参考地」『事典陵墓参考地 もうひとつの天皇陵』吉川弘文館、2005年。
  3. ^ a b c 書陵部紀要 第53号 2001.
  4. ^ 京都市内遺跡試掘調査報告 2022.
  5. ^ 埋蔵文化財発掘調査概報 1976.

参考文献

(記事執筆に使用した文献)

関連文献

(記事執筆に使用していない関連文献)

  • 京都大学考古学研究会 編「各古墳の概要 > 丸山古墳、入道塚古墳、狐塚古墳」『嵯峨野の古墳時代 -御堂ヶ池群集墳発掘調査報告-』京大考古学研究会出版事務局、1971年。 
  • 京都市 編「古墳時代 > 右京区」『史料京都の歴史 第2巻 考古』平凡社、1983年。 

関連項目

外部リンク

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