大まかな説明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/15 04:30 UTC 版)
アフィン空間では点の差としてベクトルを得たり、点にベクトルを加えて他の点を得たりすることはできるが、点をくわえることはできない。また特に、どの点が原点を与えるのかを認識することができない。 以下の特徴づけは形式的な定義よりは判りやすいだろう。アフィン空間はベクトル空間からどの点が原点であるかを忘れた後に残るもののことである(数学者Marcel Berger(英語版)の言によれば "An affine space is a vector space that's forgotten its origin" 「アフィン空間とは原点を忘れてしまったベクトル空間のことである」)。太郎さんは本当の原点 O が何処なのか知っていて、権兵衛さんは別の P と呼ばれる点が原点だと思っているという状況を想像してみよう。ふたつのベクトル a = O A → , b = O B → {\displaystyle \mathbf {a} ={\overrightarrow {\mathrm {OA} }},\,\mathbf {b} ={\overrightarrow {\mathrm {OB} }}} を加えるというとき、権兵衛さんは自分の思う a + b を求めるために、P から A へ矢印を引き、P から B へ別の矢印を引いてできる平行四辺形の対角線を考えることになるわけだが、太郎さんはそれが実際には P + P A → + P B → {\displaystyle \mathrm {P} +{\overrightarrow {\mathrm {PA} }}+{\overrightarrow {\mathrm {PB} }}} であることを知っている。同様に、a と b(あるいはもっと多くの有限個のベクトルの集合)の任意の線型結合について評価を行ったとき、太郎さんと権兵衛さんは一般には異なる答えを導き出すことになるが、それでも その線型結合の係数の和が 1 であるような場合には、太郎さんと権兵衛さんの答えは一致する ということについてはよく注意しなければならない。この話の「落ち」は、権兵衛さんは「アフィン構造」(つまり係数の和が 1 の線型結合として定義されるアフィン結合の値)しか知らないが、太郎さんは「線型構造」と「アフィン構造」の両方を知っているということにある。台集合にアフィン構造を考えたものがアフィン空間なのである。
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