塵塚怪王とは? わかりやすく解説

塵塚怪王

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/18 00:18 UTC 版)

鳥山石燕百器徒然袋』より「塵塚怪王」

塵塚怪王(ちりづかかいおう)は、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にある日本妖怪

百器徒然袋』には、唐櫃(からと、からびつ)をこじ開ける姿が描かれている。室町時代から江戸時代にかけて描かれている『百鬼夜行絵巻』にも同じく唐櫃をこじ開ける赤いの構図があり、それが参考になっていると考えられる。『徒然草』第72段に「多くて見苦しからぬは、文車の文、塵塚の塵」という文があり、『百器徒然袋』には『百鬼夜行絵巻』や『徒然草』からの引用が多く見てとれることから、この塵塚怪王もそれらを元に石燕が創作したものといわれる。また前述の「文車の文」の箇所からは「文車妖妃」が創作されている[1][2][3]

石燕は「ちりづか怪王はちりつもりてなれる山姥とうの長なるべしと」と書いており山姥などの王であるとしているが、塵と山姥についてはの『山姥』の「妄執の雲の塵積って山姥となれる」[4]という詞章を引いた表現であり、山姥と塵塚怪王(または『百鬼夜行絵巻』の赤い鬼)との関連が見られる伝承や物語なども確認されておらず、明確な立ち位置は良く分かっていない[5]

「美ふみ」という画家が明治初期頃に描いたと見られる『百器徒然袋』と題された肉筆の画帖にも、鳥山石燕の塵塚怪王を摸写したと見られる絵が描かれている[6]。また、作者不詳の『妖怪絵巻』(東洋大学附属図書館 所蔵)にも同様に石燕からの摸写と考えられる作例として怪鬼(かいき)という名で絵が描かれている[7]

平成以降の解説

平成以降の妖怪に関する書籍などでは、ごみ付喪神たちのである[8]と解釈されている例が見られる。これは「王」という名称からの想像によるものである。

脚注

  1. ^ 高田衛監修 稲田篤信・田中直日 編『鳥山石燕 画図百鬼夜行』国書刊行会、1992年、265頁。ISBN 978-4-336-03386-4 
  2. ^ 村上健司編著『妖怪事典』毎日新聞社、2000年、221頁。ISBN 978-4-620-31428-0 
  3. ^ 香川雅信『江戸の妖怪革命』河出書房新社、2005年、177頁。ISBN 978-4-309-22433-6 
  4. ^ 岩城準太郎『室町時代文学類選』東洋図書、1931年、218頁
  5. ^ 水木しげる決定版日本妖怪大全 妖怪・あの世・神様講談社、2014年、456頁。ISBN 978-4-06-277602-8 
  6. ^ 人間文化研究機構 監修『百鬼夜行の世界』2009年、107頁
  7. ^ 茨城県立歴史館『妖怪見聞』茨城県歴史館、2011年、31頁
  8. ^ 草野巧、戸部民夫『日本妖怪博物館』新紀元社、1994年、130頁。ISBN 978-4-88317-240-5 

関連項目


塵塚怪王(ちりづかかいおう)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:29 UTC 版)

ゲゲゲの鬼太郎の登場キャラクター」の記事における「塵塚怪王(ちりづかかいおう)」の解説

第9話登場鬼のような姿の、ゴミ付喪神の王。近年人間が物をすぐ捨てることに怒り多数ゴミ付喪神化して復讐しようとするが、最後はゆうたの茶碗だった瀬戸大将鬼太郎味方して鎧と矛になり、その攻撃受けて消滅し付喪神も元のゴミに戻る。

※この「塵塚怪王(ちりづかかいおう)」の解説は、「ゲゲゲの鬼太郎の登場キャラクター」の解説の一部です。
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