塩化バナジウム(IV)とは? わかりやすく解説

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四塩化バナジウム

分子式Cl4V
その他の名称四塩化バナジウム、Vanadium tetrachloride、Vanadium(IV) chloride塩化バナジウム(IV)、Tetrachlorovanadium(IV)、Vanadium(IV) tetrachloride
体系名:バナジウム(IV)テトラクロリド、テトラクロロバナジウム(IV)


塩化バナジウム(IV)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/02 02:58 UTC 版)

塩化バナジウム(IV)
Structural formula of the vanadium tetrachloride molecule
3D model of the vanadium tetrachloride molecule
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.028.692
EC番号
  • 231-561-1
PubChem CID
RTECS number
  • YW2625000
UNII
CompTox Dashboard (EPA)
性質
VCl4
モル質量 192.75 g/mol
外観 鮮やかな赤色の液体、湿気に弱い
匂い 刺激臭
密度 1.816 g/cm3, 液体
融点 −24.5 °C (−12.1 °F; 248.7 K)
沸点 148 °C (298 °F; 421 K)
分解
溶解度 CH2Cl2に溶ける
蒸気圧 7.9 Pa
磁化率 +1130.0·10−6 cm3/mol
構造
四面体
0 D
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
有毒、酸化剤、加水分解で塩化水素を放出
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
Health 3: Short exposure could cause serious temporary or residual injury. E.g. chlorine gasFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 2: Undergoes violent chemical change at elevated temperatures and pressures, reacts violently with water, or may form explosive mixtures with water. E.g. white phosphorusSpecial hazard W: Reacts with water in an unusual or dangerous manner. E.g. sodium, sulfuric acid
3
0
2
W
致死量または濃度 (LD, LC)
160 mg/kg (ラット, 経口)
関連する物質
その他の
陰イオン
フッ化バナジウム(IV)
硫化バナジウム(IV)
臭化バナジウム(IV)
その他の
陽イオン
塩化チタン(IV)
塩化クロム(IV)
塩化ニオブ(IV)
塩化タンタル(IV)
関連物質 塩化バナジウム(III)
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
 verify (what is  N ?)

塩化バナジウム(IV)(えんかバナジウム よん、: vanadium tetrachloride)は、化学式が VCl4 と表されるバナジウム塩化物である。四塩化バナジウムとも呼ばれる。明赤色の液体で、他のバナジウム化合物の合成に有用な試薬である。

合成と結合と基本的な性質

VCl4 は反磁性の塩化チタン(IV)に1電子付加した常磁性の液体である。常温で常磁性の液体はごくわずかしか存在しない。

VCl4 は金属バナジウムを塩素化することによって合成される。VCl5塩素酸化力が不十分なため、通常の状況下では合成することができない。これとは対照的に、より重いアナログ NbCl5 や TaCl5 は安定で、それほど酸化力はない。フッ素は塩素よりも酸化力があるため VF5 は安定に存在する。その酸化力を示すように、VCl4 は標準圧力下で沸点に達すると Cl2 を放出して塩化バナジウム(III)となる。

反応

その高い酸化力を反映し、VCl4 は-50 °CHBr と反応して VBr3 を与える。この反応は VBr4 を経由して進行する。VBr4 は不安定なため、室温で Br2 を放出する[1]

VCl4 は、多くのドナー配位子と VCl4(THF)2 のような錯体を形成する。また、二塩化バナドセンの前駆体でもある。

利用

VCl4アルケン類をポリマー化する、特にゴム産業で有用な触媒である。基本的なメカニズムはバナジウムアルキルを媒介するチーグラー・ナッタ触媒作用に関連している。

有機化学

この反応は、Cl2 による酸化が起こらないほどの VCl4 の酸化力を強調している。

安全性

VCl4 は揮発性で強力な酸化剤であり、容易に加水分解され HCl を発生する。

脚注

  1. ^ Calderazzo, F.; Maichle-Mossmer, C.; Pampaloni, G. and Strähle, J., "Low-temperature Syntheses of Vanadium(III) and Molybdenum(IV) Bromides by Halide Exchange", Journal of the Chemical Society, Dalton Transactions, 1993, pages 655-8.
  2. ^ M. K. O’Brien, B. Vanasse, “Vanadium(IV) Chloride” in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis (Ed: L. Paquette) 2004, J. Wiley & Sons, New York.


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