基礎概念の概略
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 19:30 UTC 版)
確率論で使われるいくつかの重要な概念を簡単に解説する。詳しい内容は各項目のページを参照。 標本空間 起こりうる結果全体の集合。確率論においては、空集合でない。Ω と書く。Ω の元 ω それぞれには起こりやすさの割合が備わっていることを仮定する。 事象 (event) 標本空間の部分集合のうち確率をもつものを事象と呼ぶ。全ての事象を集めた集合族 F {\displaystyle {\mathcal {F}}} は完全加法族になっている必要がある。それ以外に、 F {\displaystyle {\mathcal {F}}} はできるだけ細分化されている必要がある。これ以上分解できない事象を根元事象または単純事象 (elementary event / simple event)、複数の根元事象の和集合を複合事象 (compound event) という。つまり、 F {\displaystyle {\mathcal {F}}} は、根元事象から生成される最小の完全加法族となっている。 確率空間 標本空間 Ω と事象の全体 F {\displaystyle {\mathcal {F}}} と確率測度 P の組を確率空間と呼ぶ。確率の問題を確率論的に定式化するということは、この確率空間を定めることである。しかし、通常はその問題にはどのような確率変数が存在するかということを調査し、必要となる確率変数をすべて含むことができるぐらい巨大な Ω を定める。 確率測度 各事象に対して 0 以上 1 以下の数を対応させる関数を確率測度といい P と書き、事象 A の確率は P(A) となる。Ω 自体は常に全事象と呼ばれる事象であり、全事象の確率は 1 でなければならない。P は確率測度の公理を満たすように定める必要がある。「確率」が何を意味しているかは議論の対象ではない。 確率変数 Ω 上で定義された実数値関数で、 F {\displaystyle {\mathcal {F}}} 可測であるものを確率変数と呼ぶ。確率変数は、例えば「サイコロの目」のように、根元事象に値を割り当てていることを定式化したものである。この定式化により、事象が起こることは、確率変数が(各確率に応じて)ランダムに値をとることと言い換えられる。 F {\displaystyle {\mathcal {F}}} 可測であるというのは、確率変数値を取る Ω の部分集合が必ず事象である(すなわち必ず確率をもつ)という意味である。 確率分布 確率変数の各々の値に対して、その起こりやすさの記述。 確率過程 時間とともに変化する確率変数。
※この「基礎概念の概略」の解説は、「確率論」の解説の一部です。
「基礎概念の概略」を含む「確率論」の記事については、「確率論」の概要を参照ください。
- 基礎概念の概略のページへのリンク