培養中での発生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/30 05:06 UTC 版)
枯草菌や大腸菌等、通常は細胞壁を持つ多くの種から、抗生物質でペプチドグリカン生合成を阻害したり、細胞壁を消化するリゾチームで細胞を処理することにより、実験的にL型菌を生じさせることができる。L型菌は、浸透圧衝撃で細胞溶解を起こさないような、細菌の細胞質と同じ浸透圧の培地で発生する。L型株は不安定で、細胞壁を再生して普通の細菌に戻りやすいが、これらを生成させたのと同じ環境で長い期間培養し続け、細胞壁の形成を不可能にする変異を蓄積させることで防ぐことができる。 いくつかの研究では、突然変異が起こっていることが確認されている。そのような点突然変異の1つは、脂質代謝のメバロン酸経路に関わる酵素(yqiD/ispA)の変異で、これによりL型菌の形成頻度が1000倍になる。この効果が生じる理由は未知であるが、この酵素がペプチドグリカンの合成に重要な脂質を合成することと関連していると考えられている。 他の誘導方法としてはナノテクノロジーを利用したものがあり、極端な空間的束縛をかけるマイクロ流体デバイスが構築されている。サブミクロンスケールの通路を介して連結された微細環境からなる空間を拡散させるなどの方法で、L型菌に似た形状変化が選択される適応環境を設置することでL型菌に似た細胞が生じる。
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