執筆過程での特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 07:18 UTC 版)
ケータイ小説が執筆される過程には、双方向性という特徴がある。すなわち、携帯電話用の小説投稿サイト上での連載中に、読者から作家へ感想などが届き、それに対して作家がその後の物語の展開を変えるなどの反応をするといったふうに、作家と読者の間に直接的な交流が生まれる。このことは、後述するケータイ小説の持つ「リアル」「リアリティ」といった問題とも深く関わっている。 読者から直接的に反応を受け取ることができるということが作家にとって執筆の強い動機付けとなる反面、人気ランキングで上位に入る小説を連載していたにもかかわらず、内容に読者からの批判が集まったことがきっかけで執筆を途中で断念してしまうようなケースもある。ジャーナリストの佐々木俊尚は、ケータイ小説の執筆過程における双方向性をふまえると、ケータイ小説家の役割とは若い女性の間での無意識を集合知としてすくい上げてメディア化することだと述べている。内藤みかはポエムから始まる作品が多数ありそれを否定するわけではないがテーマを冒頭のポエムで表現しようと力を入れ過ぎてそこで疲れ切って書き始めたところで更新が止まる人も多いとしている。 ケータイ小説以外で、ネット上での書き手・読み手の相互作用により作品が成立した例としては、2004年に書籍化された『電車男』がある(このような作品はユーザー生成コンテンツといわれる)。ただし、『電車男』は実際の掲示板上での書き込みを出版社側が適当に取捨選択し編集して感動的な純愛物語に仕立て上げたのに対し、ケータイ小説は書籍化される際も元のテイストをなるべく維持するように配慮されている点が異なる。
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