唸音ストップ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 06:32 UTC 版)
「ストップ (オルガン)」の記事における「唸音ストップ」の解説
唸音(てんおん)ストップとは、わずかに調律を違えたパイプを同時に鳴らすことによって発生するうなりの作用を利用した効果を持つストップ。特定のストップと同時に用いることにより、ビブラート効果が得られる。楽器全体に共通するピッチよりもわずかに高く、あるいは低く調律するが、そのずれが5-6Hzの範囲にある時によく耳に認識され、これを離れると干渉によるうなりは認識されなくなる。ピッチのずれの程度によってうなりの周期が決まるという性質を使用し、同じ楽器中にある数種の唸音ストップごとに周期を違えたり、一つの唸音ストップの音域によって周期に変化をもたらしたりするなどの設計も可能である。セレストあるいはシュヴェーブンク(独:Schwebung=唸り)とも呼ばれ、ロマンティック・オルガン時代に発展した。イタリアでは、ルネサンス時代にすでにこの種のストップは知られていた。他の対になるストップと同時に使用するが、その選択を間違えると響きの良さは現れず、単独で使用するストップではない。 Voce Umana(伊) 人の声。Piffaro、Fiffaroとも呼ばれる。16世紀以降のイタリアのオルガンに特徴的な唸音ストップであり、Principale 8'と共に使用する。同名ストップとして、Vox Humana (羅) 、Voix Humaine (仏) などがあるが、これはレガール類のリード・ストップであり、まったく異なる。 Voix Céleste(仏) 天の声。唸音のSalicionalあるいはViola da Gamba。 Unda Maris(羅) 海の波。柔らかい音のフルートやストリングの唸音ストップ。ジルバーマン製作のものはPiffaroに相当。 これらの唸音ストップは、ビブラート効果を求めていない時には混合すべきではなく、トゥッティの際にも含めない。単独では用いられず、他の対になるストップと併用しなければならないなど、この種のストップ使用には注意が必要である。また、演奏台では誤用防止のためにストップの並びを工夫し、主ストップとしてではなく補助ストップ列などに、あるいは対になるストップの横に並べるなどの配慮が求められる。
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