名詞形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 14:22 UTC 版)
名詞の多くは動詞の名詞的活用によって構成される。たとえば語頭にم(ミーム)を付すことで英語の「-er」のような意味合いになる。具体例を示すと「学ぶ」を意味する動詞「 درس (darasa=彼は学んだ) 」ならば「学ぶ場所」で مدرسة (madrasa=マドラサ)になり、第II形の使役に付けば「学ばせる(=教える)人」で مدرس (mudarris=教師)になる。モロッコのことをアラビア語では المغرب(al-maghrib=マグリブ) というが、これは「日が沈む」という意味の動詞「 غرب (gharaba)」に م が付いた形であり、つまり「日の没する場所」という字義である。また日没の方角ということから転じて غرب(gharb)を名詞として用いれば「西」の意になる。 語根の間に長母音を置くことで「〜すること」もしくはその行為や現象自体が示される。しばしば「聖戦」と訳される「 جهاد 」(ジハード)は語根「 جهد 」の派生語であり、これは「ひじょうに疲れる」を意味する。綴りをそのまま名詞として用いると「努力」であるが、これの第2語根と第3語根の間に ا を挿入した派生語が جهاد である。字義としては「努むること」となり、イスラームの宗教的な意味を帯びて用いられる。この語に前述の م が付くと「ジハードを行う者」の意の「 مجاهد 」になり、これが複数形になったものが مجاهدين (ムジャーヒディーン)である。 動詞「 سلم 」は「安全である」もしくは「免れている」という意味であり、上記のように第2語根と第3語根の間に ا を挿入すると「安全であること」、すなわち سلام (平和)になる。また、動詞「 سلم 」をIV形にし、これをさらに動名詞形とすると、 إسلام (イスラーム)となる。同じくIV形に、する者をあらわす م が付くと مسلم (ムスリム)になる。
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