各国のヒスイ文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 01:58 UTC 版)
考古学においては、ヒスイといえば硬玉(ジェダイト、jadeite)を指し、軟玉(ネフライト、nephrite)はヒスイとは呼ばない。本項においても、単に「ヒスイ」という場合は硬玉のことについて記述することとなる。 世界でヒスイを産出する地域は、日本以外ではミャンマー(ビルマ)、ロシア、カザフスタン、イラン、グアテマラなどである。そのうち、日本、ミャンマー、ロシア、グアテマラに産するものが良質のヒスイと評価を受けている。 ヒスイを利用する文化は、日本・朝鮮半島・中国・ヨーロッパ、そしてメソアメリカに存在する。このうち、ヨーロッパの文化はヒスイを道具(石斧)として用いたものである。その他の地域では、装飾としてのヒスイ文化が発達した。 時代的にはメソアメリカでは約3000年前のオルメカ文化と約2000年前のマヤ文明など、朝鮮半島では約1600年前、中国では清王朝の約250年前とされる。 中国では、約7000年前からネフライトを使った玉の文化が存在していた。中国でジェダイトが使われるようになったのは17世紀の終わりから18世紀の初めで、ミャンマーで発見された玉石の美しさが王侯貴族の心をとらえた。その中でも緑色のジェダイトは、「翠玉」と呼ばれて王室でも好まれ、やがて王侯貴族のみならず中国全土で愛好されるようになり、旧来のネフライトは顧みられなくなった。 メソアメリカのヒスイ文化は、オルメカ文化やマヤ文明などで栄えた。ヒスイは神聖な石として尊ばれ、アステカ神話の文化神・農耕神であるケツァルコアトル(マヤ神話のククルカンと同一視される)はヒスイとかかわりが深く、供物には鳥・蛇・蝶の他にヒスイがささげられた。これらの文明に現れたヒスイは長きにわたって産地が不明であったが、1955年にグアテマラ(モタグア渓谷)で産地が発見された。 日本での利用例は、約7000年前の縄文時代前期後葉までさかのぼることができ、これは世界的にみても最古のものである。蛍光X線分析の結果などにより、縄文時代以来、日本で利用されるヒスイはすべてが糸魚川産のものであることが判明している。
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